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新しくなった肺炎球菌ワクチン

yoshiki

――プレベナー20・キャップバックスへの切り替えで何が変わった?
接種歴によって対応が異なります。高砂市の内科医が、あなたに合った選び方をご説明します。


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新しくなった肺炎球菌ワクチン

プレベナー20・キャブバックスへの切り替えと、あなたに合った接種タイミングを高砂市の内科医が解説します

「たかが肺炎」と思っていませんか?

肺炎(誤嚥性肺炎を除く)は2024年の人口動態統計(厚生労働省)において、日本人の死因第5位に位置しています。誤嚥性肺炎を含めると、呼吸器感染症は日本人の主要な死因のひとつです。その主な原因菌である肺炎球菌は、医療が進歩した現代においても、重症化すると短期間で命に関わる感染症を引き起こします。

2026年4月、高齢者の肺炎球菌ワクチンの定期接種制度が大きく変わりました。本記事では、肺炎球菌の怖さと新しいワクチンについて解説します。

1. 肺炎は日本人の主要な死因――データで見る現実

日本人の主な死因と構成割合(2024年確定数)

出典:厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況」 ※肺炎は誤嚥性肺炎を除く数値

肺炎で亡くなる方の年齢分布

出典:総務省統計局調査・肺炎予防.jp(2023年)

肺炎で亡くなる方の約98%が65歳以上の高齢者です。高齢になるほど免疫力が低下し、肺炎にかかりやすく、重症化しやすくなります。

2. 肺だけではない。全身に及ぶ「侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)」とは

肺炎球菌が恐ろしい理由のひとつは、菌が肺にとどまらず、本来は無菌であるはずの血液や髄液に侵入することがある点です。これを侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)と呼びます。

疾患名主な症状・リスク
肺炎高熱、激しい咳、膿性痰。市中肺炎の2〜3割は肺炎球菌が原因とされる
髄膜炎脳や脊髄を包む膜に感染。致死率が高く、難聴・麻痺などの後遺症が残ることがある
敗血症・菌血症菌が血液中で増殖し全身へ。急速に重篤化する
中耳炎特に小児に多い。重症化すると聴力低下を招くことがある
IPDの怖さは「進行の速さ」にある

国内の調査(重症型のレンサ球菌・肺炎球菌感染症サーベイランス研究)では、IPDで死亡した成人46例のうち、約半数が入院後2日以内に死亡という急激な経過をたどっていました。受診当日に亡くなるケースも22%にのぼります。

3. データで見る「IPDの致死率」

IPD成人患者の転帰

出典:MSD Connect キャブバックス疾患情報(国内データ)

死亡までの入院日数(死亡46例)

出典:重症型肺炎球菌感染症サーベイランス研究

国内の研究データによると、IPDに罹患した成人患者のうち約22%、つまり5人に1人が死亡し、約9%に明らかな後遺症が確認されています。高度な医療を受けても救えない命があるという厳しい現実があります。

4. 特にリスクが高い方

肺炎球菌は、免疫力が低下した状態を狙います。以下に該当する方は特に注意が必要です。

対象主な理由
65歳以上の高齢者IPD届出例の約7割を占める
糖尿病のある方免疫機能の低下により感染しやすい
慢性心疾患・腎疾患のある方基礎疾患が重症化リスクを高める
慢性呼吸器疾患(ぜんそく・COPDなど)のある方気道の防御機能が低下している
免疫抑制剤を使用している方免疫応答が抑制されている
脾臓を摘出した方肺炎球菌への防御機能が著しく低下
5. 薬が効きにくい「耐性菌」の問題

⚡ 「かかってから治せばいい」が通じなくなっています

近年、ペニシリンなどの抗菌薬が効きにくい「薬剤耐性(AMR)肺炎球菌」の存在が問題となっています。国内の調査では、侵襲性感染症の髄液検体の約3割がペニシリン耐性と報告されています(神奈川県衛生研究所)。

耐性菌による感染は、効く薬を探すために検査・治療が長引き、入院期間の長期化や治療費の高騰につながることがあります。「かかってから抗生物質で治せばいい」という考えだけでは対応が難しくなってきており、「かかる前に防ぐ」ワクチンの重要性がこれまで以上に高まっています。

6. 2026年4月から変わった定期接種制度
ワクチンの種類と特徴
ワクチン 公費助成 接種回数 効果の持続 当院自費価格
ニューモバックスNP(23価) 令和8年3月まで 1回
(5年以上で再接種推奨)
5年程度で低下
プレベナー20(20価) 令和8年4月〜 1回 現時点では5年ごとの再接種が原則不要とされています 11,000円(税込)
キャブバックス(21価)
成人に多い血清型に特化した設計
なし(全額自費) 1回 現時点では5年ごとの再接種が原則不要とされています 14,300円(税込)
ニューモバックスをすでに接種した方へ

接種歴によって、次に打つワクチンと時期が異なります。

接種歴推奨される次のステップ
ニューモバックス接種後
1〜4年以内の方
キャブバックスを接種(1回で完了)
ニューモバックス接種後
5年以上経過の方
① キャブバックスを接種
 ↓ 1年以上あける
② プレベナー20を接種(公費対象)

※自費接種の場合、前回の接種から1年以上あければ接種が可能です。早めに打ちたい方はお気軽にご相談ください。

7. まとめ:今できる対策

あなたの命を守るために、今すぐできること

1

手洗い・うがいの徹底

飛沫・接触感染の経路を断つ基本的な予防策です。

2

持病の管理

糖尿病・心疾患・呼吸器疾患のある方は特にリスクが高いため、持病のコントロールが重要です。

3

ワクチン接種の検討

65歳以上の方、持病のある方は、接種歴に合った最新ワクチンについて医師にご相談ください。

「どれを打てばいいの?」にお答えします

接種歴や年齢、お体の状態を確認した上で、最適なご案内をいたします。
お気軽にご相談ください。

📞 079-447-3551
参考資料:
・厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況」
・国立感染症研究所 感染症発生動向調査
・日本呼吸器学会・日本感染症学会・日本ワクチン学会「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第8版、2026年4月)」
・重症型のレンサ球菌・肺炎球菌感染症サーベイランス研究、MSD Connect キャブバックス疾患情報
・肺炎予防.jp(MSD株式会社)
※診断・治療については必ず医療機関を受診してください。

鹿岳胃腸科・内科

〒676-0078 兵庫県高砂市伊保1-4-27
TEL:079-447-3551
伊保駅から徒歩5分・駐車場10台完備

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