40代からの大腸がん予防 ~今日からできる5つの習慣~
こんにちは。鹿岳胃腸科・内科です。
「大腸がん」と聞くと、高齢者の病気というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。しかし実は、40代から発症リスクが高まり始めることをご存知でしょうか?
今回は、40代の方にぜひ知っておいていただきたい大腸がんの予防法についてお伝えします。
大腸がんは、男女合わせると日本で最も罹患数が多いがんです。2020年の統計では、年間約14万8000人が新たに大腸がんと診断されています。特に注目すべきは、40歳代から発症数が増え始め、50歳代で急増するという点です。「まだ若いから大丈夫」と思っていませんか?実は40代こそ、大腸がん予防を意識し始める大切な時期なのです。

大腸がんの発症には、日々の生活習慣が大きく関わっています。以下のような習慣がある方は、注意が必要です。
リスクを高める習慣
- 肉中心の食生活:牛・豚・羊などの赤身肉や、ハム・ソーセージなどの加工肉の摂りすぎ
- 野菜・食物繊維の不足:便が腸内に長くとどまる原因に
- 運動不足:腸の動きが鈍くなり、発がん物質との接触時間が増加
- 過度な飲酒:飲酒量が増えるほど、大腸がんリスクが上昇
- 喫煙:大腸がんの「確実な」リスク因子
- 肥満:BMI値が高いほど、発症リスクが上昇
大腸がんは、生活習慣の改善で予防できる可能性が高いがんです。以下の5つの習慣を、できることから取り入れてみましょう。
1.食物繊維を積極的に摂る
食物繊維は、大腸がん予防の強い味方です。
食物繊維の効果:
- 便通を改善し、発がん物質が腸にとどまる時間を短くする
- 腸内細菌のエサとなり、腸内環境を整える
- 発がん性物質を吸着し、体外への排出を促す
- 野菜(ごぼう、ブロッコリー、キャベツなど)
- きのこ類(しいたけ、しめじ、えのきなど)
- 海藻類(わかめ、ひじき、昆布など)
- 豆類(大豆、納豆、いんげんなど)
- 全粒穀物(玄米、全粒粉パンなど)

2.赤身肉・加工肉は控えめに
牛肉、豚肉、羊肉などの赤身肉や、ハム、ソーセージ、ベーコンなどの加工肉の摂りすぎは、大腸がんのリスクを高めることが分かっています。
ポイント:
- 肉を食べるなら、鶏肉や魚を選ぶ
- 赤身肉は週に500g以下を目安に
- 加工肉は特に控えめに
「肉を一切食べてはいけない」ということではありません。バランスを意識して、野菜や魚と組み合わせた食事を心がけましょう。
3.適度な運動を習慣に
運動は、大腸がん予防に最も効果的な生活習慣の一つです。
研究によると、ウォーキングやジョギングなどの適度な有酸素運動を続けている人は、大腸がんのリスクが約20~25%低下するという報告があります。
おすすめの運動:
- 1日30分程度のウォーキング
- エレベーターより階段を使う
- 通勤時に一駅分歩く
- 週末にサイクリングや水泳

特別なスポーツを始める必要はありません。日常生活の中で「少し体を動かす」ことを意識するだけで十分です。
4.お酒は適量を守る
飲酒は大腸がんのリスクを「確実に」高めることが分かっています。
適量の目安(1日あたり):
- ビール:中瓶1本(500ml)
- 日本酒:1合(180ml)
- ワイン:グラス2杯(200ml)
- 焼酎(25度):0.6合(約110ml)
女性は男性より少なめ(上記の1/2~2/3程度)が適量とされています。
毎日飲む習慣のある方は、週に2日は「休肝日」を設けることをおすすめします。
5.禁煙する
喫煙は、大腸がんを含む多くのがんのリスクを高めます。
たばこを吸う人は、吸わない人に比べて大腸がんの発症リスクが約1.2倍になるという報告があります。また、受動喫煙も健康に悪影響を与えます。
禁煙が難しい方は、禁煙外来の利用も検討してみてください。保険適用で禁煙補助薬を使った治療を受けられる場合があります。
大腸がんには、もう一つ重要な特徴があります。それは、早期発見すれば約99%が治るということです。
大腸がんは進行が比較的ゆっくりで、初期段階ではほとんど自覚症状がありません。だからこそ、症状がないうちから検査を受けることが大切です。
40歳を過ぎたら年1回の検診を
国が推奨するがん検診では、**40歳以上の方に年1回の大腸がん検診(便潜血検査)**が勧められています。
便潜血検査で「陽性」と判定された場合は、必ず精密検査(大腸内視鏡検査)を受けてください。「痔だから」「忙しいから」と放置することは、早期発見のチャンスを逃すことになります。
大腸カメラ検査のすすめ
大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)は、大腸がんの早期発見に最も精度が高い検査です。

- ポリープの段階で発見・切除できる
- 一度検査を受ければ、数年間は安心できる
- 検査でポリープが見つからなければ、4~5年に1回で良い場合も
当院では、豊富な経験と最新の内視鏡システム(ELUXEO 7000)により、患者様の負担を軽減しながら精度の高い検査を行っています。
以下のような症状がある方は、大腸の異常のサインかもしれません。早めに医療機関を受診しましょう。
- 血便、便に血が混じる
- 便秘と下痢を繰り返す
- 便が細くなった
- 残便感がある
- お腹の張り、腹痛が続く
- 原因不明の体重減少
- 便潜血検査で陽性と言われた
これらの症状は、大腸がん以外の病気でも起こりますが、「もしかして」と思ったら、ためらわずにご相談ください。
まとめ
大腸がんは、生活習慣の改善と定期的な検診で予防・早期発見できるがんです。
40代からの大腸がん予防のポイント:
- 食物繊維を多く摂り、赤身肉・加工肉は控えめに
- 適度な運動を習慣にする
- お酒は適量を守り、禁煙する
- 40歳を過ぎたら年1回の便潜血検査を
- 便潜血陽性なら必ず精密検査を受ける
大腸カメラ検査について不安がある方、便潜血検査で陽性と言われた方は、お気軽に当院にご相談ください。
※この記事は一般的な健康情報を提供するものであり、個別の診断・治療を行うものではありません。気になる症状がある方は、医療機関を受診してください。
