消化器科

幸せのポリープ

yoshiki

面白いのは胃のポリープです。

 ピロリ菌のいない胃には胃底腺ポリープというポリープが良く多発します。いずれも良性で悪性化せず、内視鏡で見ると診断可能なため、内視鏡専門医であれば組織検査はまず行ないません。むしろこのポリープがあればピロリ菌のいない胃癌リスクの大変低い胃であるため、内視鏡専門医の間では、

幸せのポリープ

 いずれも良性で悪性化せず、内視鏡で見ると診断可能なため、内視鏡専門医であれば組織検査はまず行ないません。むしろこのポリープがあればピロリ菌のいない胃癌リスクの大変低い胃であるため、内視鏡専門医の間では、と呼びます。

 残念なことに、内視鏡専門医でなければ診断出来ない人が多く、生検されてしまう事も良くあります。簡単に、「ポリープ取っておきました。」といわれて誤魔化されますが。 次からは別のクリニックで内視鏡検査を受けましょうね。

過形成性ポリープ

 逆にピロリ菌のいた胃にあるポリープは、過形成性ポリープと呼ばれ、大きくなるとまれに発がんするため、組織検査を行うこともあります。除菌により消滅することもあり、慢性出血を伴えば、切除が必要になることもあります。

 胃癌は異型度・分化度(癌の種類・性質)にもよりますが、早期で発見できれば内科的に内視鏡切除可能で、実際に当院でも2/3の症例は内視鏡切除で完治しております。少し進行していても進行癌早期ならば、開腹せず外科的の腹腔鏡切除が可能で、入院も短期間で済みます。完全な進行癌は外科開腹切除となりますが、年々減少傾向にはあります。

一生に一度の胃がんリスク検診

 むしろ症状もあるのにとことん我慢し、外科切除不能となる例が増えています。「少しでも早期に」発見することが重要です。胃がんは症状が出てからでは早期発見できませんので、日頃からしっかり健診を受けておくことが大切です。また、毎年健康診断で胃癌リスク健診を行っている健診機関がありますが、ピロリ菌除菌後の胃癌リスク健診は全く無意味で有害です。

胃癌リスクが判定できるのは、あくまで初回の除菌前のみで、除菌後は必ず内視鏡検査、最低でもバリウム検査によるフォローを行わなければなりません。

 健診で内視鏡検査行うと内視鏡や医師の手配をする手間と検査時間、検査コストがかかるため、毎年採血による胃癌リスク健診だけで代用してしまっている悪質な人間ドックや健診業者があります。消化器内視鏡専門医としては大変困惑し危惧しております。

 胃癌リスク健診は簡単に採血で行えますが、一生に一度限りです。
初回の結果が一生涯の胃癌リスクであるとお考え下さい。

ABOUT ME
鹿嶽 佳紀
鹿嶽 佳紀
医療法人社団 鹿岳胃腸科・内科 理事長
内科医として30年、たくさんの経験を積ませていただいています。これからも皆様に最新・最良の治療を提供していきます。また、地域の医療水準の向上に貢献できるよう、日々進歩する医療を常に学んでいます。野鳥とDIYが大好きで、最近の休日は、専ら庭の手入れです。
記事URLをコピーしました